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おれとカネやん(梶原一騎・古城武司) [少年画報社]

祝・ロッテ優勝。
というわけで今回は梶原スポ根漫画の中でもあまり知られていない
『おれとカネやん』です。

タイトルにあるように
カネやんこと四百勝投手の金田正一がもう一人の主役であり、
彼がスーパールーキー長嶋(茂雄)との初対戦を4三振でねじ伏せた
その日に誕生した主人公、
勝三四郎(金田の背番号34から命名)が
アマチュアで活躍し金田監督率いるロッテに入団して・・・
という物語です。

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(画像は復刻完全版1・2・8巻より)

貧しい家で父が土木系肉体労働に従事というあたりは
『巨人の星』と似たような設定なのですけれど、
少年時代は展開がずいぶん違っていて面白いです。
まずミスタージャガーこと山崎裕之。
大人に混じって草野球をしていた三四郎の前に
いきなり立ちふさがってくるのが
実在の選手というのにしびれました。

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(グラサンかけてやってます・・・山崎)

それから
小中学校で相棒になる赤沢の初登場時が実に腹黒く、
悔い改めて一番の相棒になるまでの展開は実にスリリングでした。

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(的当て練習のターゲットの位置をずらしてビーンボールを誘うというねちっこい作戦)

が、
高校に入ってからは
言っちゃ悪いですが『巨人の星』の焼き直し
(プラス子供応援団あたりは『あしたのジョー』)
みたいになってしまい、
まあ原作者が同一人物なのでそういう問題は無いにしても
この間に何かが起こったのかと思わせるものがありました。
先に挙げた
名キャラクター赤沢も
別の学校に行って一応はライバルになるものの、
見せ場も少なくあっさり(この漫画から)退場してしまい
新たな相棒は伴宙太そのまんまで
テンションが急降下してしまったのでした。

そして
念願のロッテオリオンズ入りを果たした後も
なぜか期待された山崎とのエピソード(再会して云々とか)は無く
面白いのはカネやん(と弟・留広)の話ばかりで
三四郎絡みで面白いのはアイドルをめぐっての三角関係くらいという体たらく。
オレと「カネやん」だからそれでもいいのかなぁ?・・・という展開でした。

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(これが元祖ロッテ=中日の日本シリーズ!中日の監督はウォーリーこと与那嶺要)

阪急と近鉄を応援していたパリーグ好きとしては
西本監督や上田監督、野村選手兼監督などが登場していたので
そういう部分だけでも楽しめたんですけどね。

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(上さんとノムさん)

終盤になって何と三四郎がロッテから放出され
近鉄バファローズに入団、
そしてカネやん率いるロッテと対決という流れには
なかなか興奮させられましたが
対決を終えて放出の真意を知ったところで
終了してしまったのでした。
この辺りは現実のペナントレースに連動していることが
逆に足かせとなってしまったのかも知れません。

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(元祖甲子園のアイドル太田コーちゃんと走る三四郎を見守る西本さん)

という訳で
名作とまではいかなかった惜しい作品ではありますが、
往年のパ・リーグファンやプロ野球全体を愛する人ならば
じゅうぶん楽しめると思います。
なお
連載当時は単行本が最後まで出なかったという本作も
後の復刻版では完結まで収録されております。

(文中敬称略)

(c)梶原・古城・金田・少年画報社・マンガショップ


おれとカネやん〔完全版〕【1】悪童の章 (マンガショップシリーズ (119))

おれとカネやん〔完全版〕【1】悪童の章 (マンガショップシリーズ (119))

  • 作者: 梶原一騎
  • 出版社/メーカー: マンガショップ
  • 発売日: 2006/09/22
  • メディア: コミック



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ロン先生の虫眼鏡(光瀬龍・加藤唯史) [秋田書店]

大低迷期を抜けて
復調気配の週刊少年チャンピオン。
一時は天下に近づいた(取った?)事もありました。

『ドカベン』『ブラックジャック』『マカロニほうれん荘』『がきデカ』と
漫画史に残る作品が揃って連載されていた時期があったのです。

脇を固める作品群も
『エコエコアザラク』『750ライダー』『ゆうひが丘の総理大臣』
当時自分のお目当てだった柳沢きみお氏の出世作『月とスッポン』など
実に豪勢で(一部連載時期が前後していたらスイマセン)
それらに比べると地味ながら
縁の下の力持ち的にチャンピオンを支える作品、
本作や『レース鳩0777』などがさらに続いて
読み飛ばすところがほとんど無いという黄金時代を築いていたのでした。

そんな中でも
(『がきデカ』あたりがPTAに睨まれていたこともあって)
チャンピオンの良心と言われていたのがこの作品です。

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SF作家として知られる光瀬氏の原作を元にした
氏の分身であるロン(龍)先生が生物のあれこれを語る漫画で、
後に隆盛を極める学研のひみつシリーズにも通じる
面白くてためになる内容は
今読んでも楽しいです。

漫画版ではオリジナルキャラが加わって
一回完結のストーリー仕立てになっているのですが、
主人公的存在の悪ガキ・元太と
うんと年上(たぶん高校生)の洋子ちゃんが
いい掛け合いをしながら進行していくので、
原作とはまた違った面白さがありました。

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そういえば
チャンピオン40周年記念で
過去の人気作品を新たに読み切りで掲載という企画があり、
(『月とスッポン』は大変な事になってましたが・・・)
それらをまとめて『週刊少年チャンピオン40th』として発売もされました。
けれど
光瀬氏が亡くなっていることもあってか
本作の新作は残念ながら読むことはできませんでした。

あと余談ですが
作画の加藤氏は『ザ・シェフ』というヒット作も
後に手がけているのですけれど
最近までロン先生の方だとは全く気付いていませんでした(汗)。

(c)光瀬・加藤・秋田書店


ロン先生の虫眼鏡 (1) (秋田文庫)

ロン先生の虫眼鏡 (1) (秋田文庫)

  • 作者: 光瀬 竜
  • 出版社/メーカー: 秋田書店
  • 発売日: 2003/09
  • メディア: 文庫



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おにいさまへ・・・(池田理代子) [集英社]

『ベルばら』の池田氏による中編で
NHKにて(出崎・杉野のゴールデンコンビで)アニメ化もされていることから
今更自分が語ることもないような作品ではありますが、
コミックスはおろか
レーザーディスクソフトまで買ってしまった
(再生機が壊れて今は観られない・・・涙)くらい
好きな作品なので少々お付き合い下さい。

お話としては
中高一貫の名門女子校の高等部に入学した主人公、奈々子が
全校生あこがれの存在である
特権階級クラブ的組織・ソロリティの一員に選ばれ
複雑な人間関係や学校を揺るがす騒動のただ中に
身を置くことになるというもので、
中高一貫の男子校に高校から入った人としては
肩身の狭さあたりは共感を覚えたりもしましたが
なにしろ男子校ですしハイソでも無かったので(笑)
違う世界の出来事のように楽しめました。

なおこの作品の主人公は奈々子ですけれど、
奈々子自体が平凡なかわいらしさを持つ人物だけに
彼女以上のインパクトを持つ登場人物は何人もおりまして、
個人的に気に入ったのが同級生のマリ子でした。

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(黒髪がマリ子でもう一人が奈々子・・・最初のマーガレット版単行本より)

彼女の行動を追っていると
これって百合漫画のはしりだったのかも・・・などと
一瞬思ってしまうのですが、
読んでいると現在のそれらとは決定的に違うことに気付きます。

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(黒髪の男性がタイトルにある「おにいさま」。もう一人はソロリティ会長の兄)

マリ子の男嫌いは
父親がポルノ作家であることや
その父親の女性関係からくる嫌悪感によるもので、
女性の方が好きという嗜好ではありませんでした。
この作品には他にも
女生徒たちの人気を集める女学生が何人もおりますが、
それらも
歌劇団の男役にあこがれるようなものであり、
今の百合漫画とは
一線を画していたのでした。

(c)池田理代子・集英社


おにいさまへ… 1 (中公文庫 コミック版 い 1-43)

おにいさまへ… 1 (中公文庫 コミック版 い 1-43)

  • 作者: 池田 理代子
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2002/05
  • メディア: 文庫



おにいさまへ…DVD-BOX1

おにいさまへ…DVD-BOX1

  • 出版社/メーカー: パイオニアLDC
  • メディア: DVD



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税ってなんだ?(法人会・水木プロ) [その他]

これは役所やデパートの
公的刊行物置き場などにある
無料の冊子です。

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鬼太郎一家が税金について考えるという話が全部で三つ掲載されており
こちらで一話だけ読むことができます)、
第一話では税金は社会を支える会費のようなもので納税は国民の義務であることが、
第二話では個人の税以外の税いろいろとe-taxについて、
第三話では少子高齢化と将来について語られており、
税金は納めるだけでなく使われ方にも関心を持とう、
税金の大切さを知ろうとまとめられています。

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(第三話ではねずみ男がまた悪さを・・・)

最近放映されたアニメの影響もあってか
ネコ娘がブリっ子だったり、
元気なお年寄りの例として
砂かけ婆と子泣き爺が登場したり、
税負担の将来図として
鬼太郎一人で子泣き爺を持ち上げていたりするなど
堅い内容ながら
なかなか茶目っ気のある小冊子でした。

※(c)法人会・水木プロ
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すべてはお客さまのために(能田茂・和順高雄) [その他]

これは
総合スーパー、ジャスコで知られるイオンの
創業250年を記念して制作された漫画です。

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(表紙)

何かこう、
宮下あきら氏あたりに通じる本宮系の絵だな・・・と思っていたら
能田氏は本宮プロ出身で
本宮氏もこの漫画を監修していたのでした。

さて内容ですが
研修制度を利用してマレーシアからやって来た女子社員と
彼女の面倒を見ている中堅OLに
定年後再雇用で働くベテラン社員がイオンのDNAを語るというかたちで、
イオンの250年の歴史が描かれています。

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(主人公リーリャンと指導係の桃子)

ひとくちに250年と言っても
ジャスコそのものの歴史は40年ほどでして、
三社合併の中の一社で
最も歴史が古くジャスコでも経営の中心となっていった
岡田屋の歴史が三分の二ほどを占めています。

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(裏表紙。三社合併時の右からシロ・オカダヤ・フタギの社長)

長年ジャスコの顔だった現名誉会長の岡田卓也氏は
流通業を代表する一人でもあったため
自分が以前住んでいた東海地方のローカル経済新聞でも
伝記のような連載があったのですが、
そちらは失礼な言い方ながら
地元の岡田家に対するヨイショがきつすぎて
合併した他の二社についてはオマケ以下の扱いであり、
特にフタを開けてみたら財務状況が悪かったというシロについては
何ともひどい言いようでした。

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(明治期のエピソード)

しかしながら
この漫画はイオン自らが作っているからか
はたまた勝者の余裕なのかで
オカダヤ以外の二社についても丁寧に描かれており
(そもそもこの両社は合併時の社長が創業者で歴史が短い)
読んでいて好感が持てました。

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(ジャスコの顔・卓也氏と姉の千鶴子氏の話)

それぞれの章の最後には解説文がついており、
「バブルの荒波に巻き込まれなかったイオン」や
「多機能複合型ショッピングセンター」などについて
詳しい説明がされています。
自分も前々から
阪急ブレーブスは買ってくれなかったし
女子ハンドボールもあっさり手放すしケチだなぁ・・・とは思っていましたが(おい)
花博の事故がそういった派手な投資をやめるきっかけだったと知って
なるほどと思わされました。

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(これはトップバリュの解説)

そもそもイオンや流通業に興味が無ければ
面白くも何ともないと思われるからか、
この漫画は関係者むけや株主総会などで配られただけで
(ちなみに海外の進出先でも訳して配布しているとか)
たまにネットで売られているものを買うくらいしか
入手方法はありません。

ただ
イオンゴールドカードやオーナーズカード(株主カード)を
持っている方ならば
大型店舗(含マックスバリュ)にあるイオンラウンジ(無料休憩所)に
大抵数冊は備え付けられているので、
そちらで読むことができます。

※画像は(c)AEON
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